母乳分泌過多は見逃されることの多い ”トラブル” です。
母乳がよく出ることはいいことであり、出過ぎて困っていても、解消したほうがよいものという認識が少ないようです。
母乳の分泌過多は、そのままにしておかない方がよいトラブルと知ってほしいと思います。
母乳分泌過多の原因は、児の欲求に添わない不適切な授乳習慣から起こることが多いとされます(母の疾患、内服薬などが関与している場合もあります)
3時間毎など時間を決めての授乳を行っている、5分ずつなど短時間で切り替えて両方授乳している、授乳前後で搾乳する、などを続けているうちに、母乳分泌過多の傾向になることが多いです。
入院中など早い時期は、児が眠りがちだったり飲む力が弱かったりすると哺乳量が不足する場合があり、このような授乳方法の説明を受けるのですが、退院後、必要ない場合でもこの方法を継続することで、分泌過多が助長されていることがとても多いです。
母乳は、基本的に児が欲しがるときに欲しがるだけ飲ませることで、徐々に必要な母乳量を飲みとり、また母乳量も併せてコントロールされていくのですが、授乳時間(飲ませる間隔、吸わせる時間)を決めてしまったり、必ず両方から授乳する、必要のない搾乳などでコントロールがうまくいかないことが大きな原因となるのです。
<母の症状>
・乳房が決して楽になった感じがしない
・授乳後すぐに母乳が湧いてくる感じがする
・授乳以外でも頻繁に射乳反射を感じている
・母乳パットや衣服を濡らしてしまうほど母乳が漏れる
・乳房が突き刺すように痛む
・乳房が硬くしこったり、敏感な部分がある
・乳管のつまりや、乳腺炎が起こりすい
<児の症状>
・極端な体重増加
・授乳中に咳き込んだり、むせたりする
・口から母乳が漏れる
・乳房から体を反らせたりして、授乳を続けるのが難しい
・極端におならが多い
・便が頻繁に出たり、緑色の便が出る
・飲み終わってすぐでも落ち着かない、すぐに空腹のサインを出す
できるだけ赤ちゃんの欲求に合わせた授乳を行い、分泌過多や、それに伴うトラブルを予防していくことが大切です。
授乳方法に迷っている、分泌過多の症状に悩んでいる場合など、早めの相談で改善を図っていくことをお勧めします。